ER図（Entity-Relationship Diagram：実体関連図）とは、システムが扱う「データ（実体：Entity）」と、それらの間の「関係性（関連：Relationship）」を視覚的に表現するデータベース設計図で、四角形（エンティティ）と線（リレーションシップ）、記号（カーディナリティ）で構成され、データ構造の共通認識形成や設計ミス防止に不可欠です。概念モデル、論理モデル、物理モデルの3段階で作成され、IE記法やIDEF1X記法などの記法があります。
ER図の基本要素
- エンティティ: 「顧客」「商品」「注文」など、データとして扱われる実体（四角形で表現）。
- アトリビュート: エンティティが持つ属性情報（例：顧客名、商品価格）。
- リレーションシップ: エンティティ間の関係性（例：「顧客が商品を注文する」）。
- カーディナリティ: 関係性の種類（「1対1」「1対多」「多対多」など）を示す記号。
ER図の役割とメリット
- データ構造の可視化: 複雑なデータ構造を一目で理解できるようにする。
- 設計ミス・手戻りの防止: 設計段階での認識齟齬や仕様漏れを防ぐ。
- コミュニケーションの円滑化: 開発者間での共通言語となり、情報共有を促進する。
- データベース設計の基盤: テーブル設計やキー設計を効率的に行うための土台となる。
主なER図の種類（記法）
- IE記法: crow’s foot（カラスの足）記号でカーディナリティを示す、広く使われる記法。
- IDEF1X記法: 米国連邦標準で、IE記法と似ているが表現がより詳細。
作成の段階
- 概念モデル: 要件定義で「モノ」や「コト」を洗い出す段階。
- 論理モデル: 属性や主キー、外部キーを定義する段階。
- 物理モデル: 特定のデータベース（Oracle, MySQLなど）向けにデータ型などを調整する段階。
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