係数見積もりとは、過去の類似プロジェクトのデータ(実績コストや工数)を統計的に分析し、係数(パラメータ)と変数(コード行数、機能数など)を用いた数式モデルに当てはめて、新しいプロジェクトのコストや工数を算出する手法です。「1個あたり〇〇円」という実績から「100個なら〇〇円」と機械的に計算するイメージで、根拠が明確で精度が高い一方、類似プロジェクトのデータや適切なパラメーターが必須です。
係数見積もりの仕組みと具体例
- 過去データの分析:過去の類似案件で「1機能あたり約5人時」といった係数(単価・単価)を算出します。
- 変数(パラメーター)の特定:新規案件で「機能が20個ある」といった変数を設定します。
- 数式への適用:「20機能 × 5人時/機能 = 100人時」のように計算し、工数を見積もります。
メリット
- 根拠が明確:数式とデータに基づくため、クライアントへの説明がしやすい。
- 客観性:担当者の経験や知識に左右されにくく、機械的に算出できる。
- 高い精度:類似データが豊富なら高精度が期待できる。
デメリット・注意点
- データ依存:類似プロジェクトやサンプルが不足すると精度が低下する。
- 適用範囲の限定:モデルが適用できるプロジェクトにしか使えない。
- パラメーターの精度:パラメーター(機能数など)の数値が不正確だと見積もりも不正確になる。
代表的な係数モデル
- FP法 (Function Point Method):機能規模(機能点数)をベースにする手法。
- COCOMO / COCOMO II:ソースコード行数などをベースにする手法。
向いているケース
- 開発実績が豊富で、過去データが蓄積されている企業。
- 根拠のある数値で説明したい場合。
- 中小規模の類似プロジェクトが多い場合。

コメント