プロジェクトマネジメントとは、特定の目的を達成するため、スコープ(範囲)、コスト、品質、スケジュール(納期)などの要素を計画・実行・監視・制御し、限られたリソース(人・物・金)を最大限活用して成功に導くための体系的な手法・活動です。明確な「目的」と「期限」があるプロジェクトを成功させるために、進捗管理、リスク管理、コミュニケーション、リーダーシップなどが重要視されます。

画像参照:https://backlog.com/ja/blog/what-is-project-management/
見積もりの技法
コストを見積もる手法は下記のように種類があります。コストの見積もり以外にも、作業時間の見積もりやリスクの大きさの見積もりなどにも使用できます。
| 手法 | 概要 |
|---|---|
| 類推見積もり | 過去に実施した類似プロジェクトの実績やデータを参考に、新しいプロジェクトのコストや工数、期間などを迅速に見積もる手法です。 |
| 係数見積もり | 過去の類似プロジェクトのデータ(実績コストや工数)を統計的に分析し、係数(パラメータ)と変数(コード行数、機能数など)を用いた数式モデルに当てはめて、新しいプロジェクトのコストや工数を算出する手法です。 |
| 三点見積もり | プロジェクトのコストや工数を見積もる際に、楽観値(最良ケース)、最頻値(最も可能性が高いケース)、悲観値(最悪ケース)の3つのシナリオを設定し、これらを平均してより現実的で信頼性の高い見積もりを算出する手法です。 |
ファンクションポイント法
ファンクションポイント法(FP法)は、ソフトウェア開発の見積もり手法の一つで、利用者の視点からソフトウェアの機能(入出力、ファイルなど)を分類・数え上げ、それぞれの複雑さに応じて重み付け(ポイント)をして合計することで、開発規模(工数やコスト)を定量的に算出する方法です。プログラミング言語や実装方法に依存せず、利用者(顧客)側も理解しやすいため合意形成が取りやすいという利点があり、国際的に標準化されています。
FP法の主な特徴
- 機能ベース: プログラムのステップ数ではなく、利用者が認識できる機能(画面、帳票、ファイルなど)を計測します。
- 言語非依存: 開発言語(Java, Pythonなど)や実装方法によらず、機能そのものの規模を測れます。
- 客観性と合意: ユーザー(顧客)側にも分かりやすいため、開発依頼者との合意形成がしやすいです。
- 標準化: IFPUG(国際ファンクションポイントユーザ会)によって標準化されており、世界中で利用されています。
計算手順(IFPUG法の場合)
- ファンクションの識別と分類: 以下の5つの要素に分類します。
- 外部入力 (EI): 外部からのデータ入力(画面入力、バッチ入力など)。
- 外部出力 (EO): 外部へのデータ出力(帳票、画面表示など)。
- 外部照会 (EQ): 外部からの問い合わせ(検索画面など)。
- 内部論理ファイル (ILF): システム内で管理されるデータファイル。
- 外部インタフェースファイル (EIF): 他システムとの連携ファイル。
- 複雑度の評価: 各要素を「単純」「平均」「複雑」の3段階で評価します。
- 未調整FP (UFP) の算出: 種類ごとの数と複雑度に応じた点数を掛け合わせ、合計します。
- システム特性係数 (VAF) の適用: システム全体の複雑さ(セキュリティ要件、性能要件など15項目)を評価し、係数を掛け合わせて最終的なFP値を算出します。
メリット・デメリット
- メリット: 開発言語に依存せず、要件定義段階から規模を見積もれる、顧客との認識合わせが容易。
- デメリット: 複雑度の判定に主観が入りやすい、過去事例がない機能の評価が難しい。
FP法は、開発規模の見積もりだけでなく、開発生産性の測定や、新規開発かパッケージ購入かの意思決定など、プロジェクト管理全般で活用されています。
アーンドバリュー法
アーンドバリュー法(EVM: Earned Value Management)は、プロジェクト管理手法の一つで、「計画(予算)」、「実績(出来高)」、「実コスト」の3つの指標を金銭価値で比較し、進捗とコストの両面からプロジェクトの状況を客観的に評価する手法です。これにより、遅延や予算超過のリスクを早期に発見し、計画通りに進んでいるか(スケジュールパフォーマンス)や、コスト効率はどうか(コストパフォーマンス)をリアルタイムで把握できます。

画像参照:https://products.sint.co.jp/obpm/blog/serial/serial10.html
EVMを構成する主要な指標
- PV (Planned Value / 計画値): 計画通りに進んでいれば、現時点で完了しているはずの作業量(予算)。
- EV (Earned Value / 出来高): 実際に完了した作業の価値(金銭換算)。
- AC (Actual Cost / 実績値): 実際に投じたコスト。
- BAC (Budget at Completion / 完成時総予算): プロジェクト全体の予算。
EVMの目的とメリット
- コストとスケジュールの統合管理: 時間だけでなく、コスト面からも進捗を把握できる。
- 早期の課題発見: 計画と実績の差異から、遅れや予算超過の兆候をいち早く察知できる。
- 客観的な状況把握: 進捗を「何%完了」ではなく、「いくらの価値を生み出したか」で数値化し、客観的に評価する。
簡単に言うと
「予定通りなら2,000万円分の仕事が終わっているはず(PV)だけど、実際には1,500万円分の仕事しか終わっておらず(EV)、それに対して1,800万円使った(AC)」といった具合に、計画と実績、コストを「金額」で比較することで、プロジェクトの「健康状態」を可視化できるのがアーンドバリュー法(EVM)です。

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