コンピュータ内部では2進数を用いて小数点を表現します。
- 固定小数点数 : 小数点の位置を固定して扱う方式。
- 浮動小数点数 : 小数点の位置をずらして表現する方式。極端に大きい・小さい数を扱える。
- 構造: 符号部(正負)、指数部、仮数部の3つの情報に分けて管理。
- 規格: IEEE 754 が一般的。単精度(32ビット)や倍精度(64ビット)がある。

画像参照:https://shikaku.pepenoheya.blog/basic_information_ieeeformat/
固定小数点数
固定小数点数は、コンピュータが数値を扱う際、あらかじめ決められた位置に小数点を固定して表現する形式です。整数部と小数部の桁数が固定されており、主に整数と同じ回路・計算方式を用いるため、高速かつ情報落ち(精度低下)が起きないという特徴を持ちます。計算速度が重要なDSP(信号処理)や、1円の誤差も許されない金融計算などに適しています。
特徴
- 小数点の位置が固定: 10進数で言えば、123.45、12.345、1.2345 のように「下から2桁目」など位置が決まっている。
- 高速計算: 整数演算と全く同じ計算命令を使えるため、ハードウェアやCPUで高速に処理できる。
- 固定精度: 数値が小さくても大きくても精度が一定。
- 範囲が狭い: 扱える数の範囲は浮動小数点数に比べて狭い。
- 情報落ちなし: 巨大な数と小さな数の加減算を行っても、精度が落ちない。
具体的な仕組み(2進数の場合)
16ビットのメモリを例にして、8ビットを整数部、8ビットを小数部として使う場合(8.8形式):
- データ:
0000000110000000(16ビット) - 小数点の位置:
00000001.10000000 - 値:
1 + 0.5 =1.5
システム上は「384」という整数として計算し、プログラム側で結果を1/28倍して1.5と解釈する。
固定小数点数と浮動小数点数の比較
| 特徴 | 固定小数点数 | 浮動小数点数 |
|---|---|---|
| 計算速度 | 高速 | やや遅い |
| 精度 | 一定 (固定) | 範囲に依存 (可変) |
| 数値の範囲 | 狭い | 非常に広い |
| 主な用途 | 金融・DSP・3DCG | 科学計算・グラフィックス |
用途
- 銀行・金融システム: 0.1円以下の誤差が許されない計算(固定小数点数の利用が適している)。
- 組込みシステム・DSP: 低消費電力、高速性が求められる信号処理。
- レトロゲームや3DCG: 浮動小数点ユニットがない古いCPUや、計算速度が最優先される場合。
固定小数点数は「少数」と呼ぶが、小数点の位置を最後に固定すれば整数も同様に扱えます。
浮動小数点数
浮動小数点数は、コンピュータで実数(小数)を扱う際に、符号部・指数部・仮数部の3要素に分けて表現する方式です。小数点の位置を固定せず動的に扱うため、非常に小さな数から大きな数まで、限られたビット数で効率的に表現できます。主に32ビットの単精度64ビットの倍精度があり、IEEE 754 規格が広く使われます。
仕組み
数値を ±(仮数) × (基数)指数 という形式(科学的表記法)で表現する。
- 符号部 : 正(+)か負(-)か。0なら正、1なら負を表す。
- 仮数部 : 有効数字の桁並び。
- 指数部 : 小数点の位置を示す。
例えば、10進数の「-4.375」は2進数で「-1.000112 × 22」と表現でき、符号部に「-」、仮数部に「1.00011」、指数部に「2」が格納される仕組みである。
主な特徴と精度
- 単精度浮動小数点数 (32bit): 約
から
までの範囲、有効桁数は10進数で約6~7桁。
- 倍精度浮動小数点数 (64bit): 約
から
までの範囲、有効桁数は10進数で約15~16桁。
- 利点: 非常に大きな範囲の数値を表現できる。
- 欠点: 2進数で表現できない小数が存在するため、計算結果に微小な誤差(誤差)が生じることがある。
関連用語
- IEEE 754: コンピュータでの浮動小数点演算の国際規格。
- 正規化: 仮数部の小数点より前の部分を「1」にする表現方法。
- 浮動小数点数型: プログラミング言語における、小数を含む数値を扱うデータ型。
浮動小数点数の正規化
浮動小数点の正規化は、数値を1.XXX × 基数指数 の形式(特に2進数では1.XXX × 2n)に整える処理です。仮数部の最上位桁を0以外(2進数では必ず1)にすることで、有効桁数を最大化し、計算精度を保ち、データ表現を統一します。
正規化の仕組みと重要性
- 目的: 計算結果の有効桁数を最大にし、丸め誤差を最小限に抑えるため。
- 方法: 小数点を移動させ、整数部分が1桁(0以外)になるように調整し、その分指数部を増減させる。
IEEE 754における正規化(2進数)
2進数では、1桁目を「1」にすることで、1.000…から1.111…の範囲(実質1以上2未満)に仮数を調整します。
- 例:101.0112 × 22 → 1.010112 × 24(正規化)
なぜ正規化が必要か
同じ数値を複数の形式で表現できる(例:0.1 × 21 = 0.01 × 22)ことから、コンピュータが演算を効率的かつ正確に行うために、1つの「1.XXX」という形に統一する必要がある。
IEEE 754における浮動小数点数
IEEE 754は、コンピュータで実数(浮動小数点数)を表現・演算する際の国際標準規格です。符号、指数、仮数部を特定のビット数に割り当て、32ビット(単精度)や64ビット(倍精度)で、極めて大きな値から小さな値までを近似的に表します。多くのプログラミング言語(C, Java, Python等)で採用されており、計算結果の互換性を保証します。
IEEE 754の主な特徴と構造
- 定義: 符号部(1ビット)、指数部、仮数部に分かれており、2進数で実数を表現する方式。
- 表現の形式: 主に2つの基本形式が存在する。
- 単精度: 32ビット(符号1 + 指数8 + 仮数23)。
- 倍精度 : 64ビット(符号1 + 指数11 + 仮数52)。
- 特徴: 仮数部の最上位ビットを「1」に固定する(ケチ表現)ことで、実質的な精度を向上させている。
- 特殊値のサポート:
0、無限大 (♾️
、-♾️
)、非数(NaN:Not a Number)といった特殊な値を定義。
- 丸めモード: 最近接偶数への丸め、ゼロ方向への丸め、
+♾️方向への丸め、
-♾️方向への丸めを規定。
非数(NaN: Not a Number)
計算結果が数値として定義・表現できない状態を示す、浮動小数点数の特殊な値です。0での除算(0/0)や負数の平方根など、不正な演算結果に使われ、比較演算で偽を返すなど特有の性質を持ちます。
※平方根:(ルート:√a)は2乗してaになる数
浮動小数点数(単精度:32bit)の構造
32ビット(4バイト)のデータは以下の構成になる。
- 符号ビット : 1ビット(0: 正, 1: 負)
- 指数部 : 8ビット
- 仮数部 : 23ビット
主な用途とメリット
- 互換性: 異なるコンピュータアーキテクチャ間でも同じ計算結果が得られる。
- 範囲: 非常に大きな数(約 ±3.4 × 1038)や小さな数を扱える。
IEEE 754は、科学技術計算やグラフィックス処理において不可欠な標準規格です。

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