ハードディスクドライブ(HDD)は、磁性体を塗布した円盤(プラッタ)を高速回転させ、磁気ヘッドでデータを読み書きする大容量・低コストの磁気ストレージ(記憶装置)です。パソコン、サーバー、外付けHDDなどのデータを長期保存する主要な記憶媒体として利用されています。

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データの記録方法
ハードディスク(HDD)のデータ記録は、高速回転する磁気ディスク(プラッタ)の表面にある磁性体に、磁気ヘッドを使って「N極・S極」の向き(磁化)を変化させて記録する方式です。主流は「垂直磁気記録方式」で、データを高密度に保存するため、データを瓦のように重ねて記録する「SMR方式」と、従来からの「CMR方式」があります。
詳細な記録の仕組みと技術は以下の通りです。
基本的な記録の原理
- 物理構造: 磁性体を塗布したアルミやガラスの「プラッタ」を高速回転させます。
- 磁気記録: 磁気ヘッド(コイル)に電流を流して磁界を発生させ、磁性体の極性(N/S)を「0」と「1」に対応させて記録します。
- データ構造: 同心円状の「トラック」に沿って記録され、さらに細分化された「セクタ」単位で管理されます。
主な磁気記録方式
- 垂直磁気記録方式 (PMR/CMR): 磁性体を垂直に配置し、隣接する磁区同士の反発を抑え、高密度かつ安定してデータを記録する、現代のHDDの主流技術です。
- 瓦磁気記録方式 (SMR: Shingled Magnetic Recording): トラックを瓦のように部分的に重ねて記録することで、より高い記録密度を実現。大量のデータを安価に保存できる一方、上書き速度が遅くなる傾向があります。
- 熱アシスト磁気記録 (HAMR: Heat-Assisted Magnetic Recording): レーザーで磁性材料を一時的に加熱し、高保磁力(熱に強い)材料に精密な記録を行う次世代技術です。
データの読み書き
- 磁気ヘッド: ディスクの表面に浮上した磁気ヘッドが、磁化パターン(N極・S極の配列)を読み取り、データとして認識します。
- 高速回転: プラッタは毎分4,500〜15,000回転(主流は7,200〜10,000)し、高速にデータへアクセスします。
このように、HDDは磁気的な「極性の変化」を利用し、物理的な磁性体の向きを操作することでデータを保持する「磁気ディスク記憶装置」です。
データのアクセス時間
ハードディスク(HDD)のアクセス時間は、ヘッドの移動(シーク時間)、ディスクの回転待ち(サーチ時間)、データ転送の3つの合計で計算されます。通常、数ミリ秒〜数十ミリ秒程度で、SSDより遅いものの、磁気ディスクの物理動作に依存する特性があります。
詳細な情報:
- アクセス時間の構成要素:
- シーク時間(位置決め時間): ヘッドがデータを読み書きするトラックまで移動する時間。
- サーチ時間(回転待ち時間): 目的のデータがヘッドの下まで回転してくるのを待つ時間。平均的にはディスク1/2回転分となる。
- データ転送時間: 実際にデータを読み書きする時間。
- 平均アクセス時間: 一般的な計算式は、平均アクセス時間 = 平均シーク時間 + 平均サーチ時間 + データ転送時間。
- 回転速度との関係: ディスクの回転速度(RPM)が速いほど、サーチ時間(回転待ち)が短くなり、高速なアクセスが可能。
- ボトルネック: HDDは物理的な構造上、ランダムアクセス(データをあちこちから読み込む)において、高速なヘッド移動が必要となるため、ランダムアクセス時間が長くなる傾向がある。
フラグメンテーションとデフラグメンテーション
フラグメンテーション(断片化)は、HDDなどの記録媒体でファイルの保存・削除を繰り返すことでデータがバラバラに分散する現象です。デフラグメンテーション(デフラグ)は、その断片化されたデータを再配置して連続した状態に戻し、読み書き速度の向上やストレージの効率化を行う作業です。
概要
- フラグメンテーション:
- 意味: ファイルがディスク内で不連続な小さな領域に分割されて配置されること(断片化)。
- 原因: 長期間のデータ保存・削除の繰り返し。
- 影響: データの読み書き速度が低下し、PCのパフォーマンス悪化の原因となる。
- デフラグメンテーション:
- 意味: 断片化(フラグメンテーション)を解消し、バラバラになったデータを1箇所に整理する作業。
- 目的: ファイルの連続性を回復し、アクセス時間を短縮してストレージを高速化・最適化する。
補足知識
- HDD vs SSD: HDDは物理ヘッドの移動があるためデフラグが有効だが、SSDは構造が異なるため頻繁なデフラグは不要であり、自動で処理されることが多い。
- メモリ上の断片化: 主記憶装置(メモリ)で発生したフラグメンテーションの解消は、主に「メモリコンパクション」と呼ばれる。
現代のパソコンでは、OSが自動的に整理を行うため、手動でのデフラグ機会は減っていますが、HDDベースのシステムや長期間使用した環境では依然として有用な高速化手段です。
RAID
RAID(レイド)は「Redundant Array of Inexpensive Disks」の略で、複数のHDD(ハードディスクドライブ)を組み合わせて、1つのドライブのように見せかけ、データの安全性向上(耐障害性)や読み書き速度の向上を実現する技術です。RAIDのレベル(種類)によってデータの分散方法や冗長性の確保方法が異なり、RAID 0(速度重視)、RAID 1(ミラーリングで安全性重視)、RAID 5(パリティで安全性と効率性)などが代表的で、用途に応じて最適な構成を選びます。
主な目的
- 安全性(耐障害性)の向上:1台のHDDが故障しても、他のディスクのデータから復旧したり、稼働し続けたりできるようにする。
- 高速化:データを複数のディスクに分散して書き込むことで、アクセス速度を向上させる。
- 大容量化:複数のディスクを束ねて、単一の大きなストレージとして利用する。
代表的なRAIDレベル
- RAID 0:データを分割して複数ディスクに書き込む(ストライピング)。高速だが、1台でも故障すると全データが失われる(冗長性なし)。
- RAID 1:データを完全に複製して複数ディスクに書き込む(ミラーリング)。高い安全性を持つが、使用可能容量はディスク総容量の半分になる。
- RAID 5:1台分のディスク容量をパリティ(復元用データ)として使い、複数ディスクに分散。1台の故障に耐えられる。
- RAID 6:RAID 5に加えて、さらに別のパリティを生成。RAID 5よりも耐障害性が高く、2台のディスク故障に耐えられる。
注意点
- バックアップとは異なる:RAIDは運用上の冗長性を高めるもので、完全なバックアップの代わりにはならない。
- 同じディスクを使用:構成するディスクは、同じ容量・性能のものを使うのが基本。

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