カプセル化とは、オブジェクト指向プログラミングにおいて、データ(属性)とそのデータを操作する手続き(メソッド)をひとまとめにしてカプセルのように保護し、外部からの直接アクセスを制限して内部の詳細は隠蔽する仕組みです。これにより、データの安全性向上、保守性・再利用性・開発効率の向上といったメリットがあり、ネットワーク通信の世界でも、データを階層化してヘッダー情報を付加していくプロセスを指します。
オブジェクト指向におけるカプセル化
- データの隠蔽: クラスの内部データ(フィールド)を外部から直接変更できないように「private」などで保護します。
- 操作の公開: データを取得・設定するための「ゲッター(getter)」「セッター(setter)」メソッド(アクセサメソッド)を用意し、外部はこれらを通じてのみデータにアクセスできるようにします。
- メリット:
- 安全性: 不正な値の書き込みを防ぎ、データの整合性を保ちます。
- 保守性・再利用性: 内部実装が変わっても、公開されたメソッド(インターフェース)が変わらなければ外部コードに影響を与えません。
通信におけるカプセル化
- 階層化: データをパケットという単位に分割し、各層で必要な情報をヘッダーとして付加(包む)していきます。
- プロトコル: TCP/IPなどの通信プロトコルが、データを送受信するためにこの仕組みを利用しています。
その他の文脈
- 生体反応: 生体内に異物を埋め込んだ際に、体が線維芽細胞で覆う「被膜化(カプセル化)」という現象も指します。
まとめ
カプセル化は、「必要なものだけを見せて、内部は隠す」という考え方で、プログラミングではコードの品質を、通信ではデータ転送の仕組みを支える重要な概念です。

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