固有リスクと統制リスクは、監査における重要な概念で、それぞれ財務諸表の虚偽表示のリスクを評価する際の要素です。固有リスクは、内部統制がなくても存在するリスク、統制リスクは、内部統制によって防止または発見されないリスクを指します。
固有リスク (Inherent Risk)
- 内部統制が全く機能していないと仮定した場合に、財務諸表に重要な虚偽表示が存在する可能性のことです。
- 例えば、経営者の不正の動機や、特定の取引の複雑さなどが固有リスクを高める要因となります。
- 監査人は、固有リスクを評価する際に、勘定科目や取引の種類、経営環境などを考慮します。
統制リスク (Control Risk)
- 企業が持つ内部統制が、財務諸表の重要な虚偽表示を防止または適時に発見できない可能性のことです。
- 例えば、内部統制の設計や運用上の不備、監視機能の欠如などが統制リスクを高める要因となります。
- 監査人は、統制リスクを評価する際に、内部統制の有効性を理解し、評価する必要があります。
固有リスクと統制リスクの関係
- 固有リスクと統制リスクは、監査リスクを構成する要素であり、これら2つのリスクの組み合わせによって、監査人が財務諸表の重要な虚偽表示を発見できない可能性(発見リスク)が決まります。
- 監査人は、これらのリスクを評価し、監査計画を策定する際に、リスクの高い領域に重点的に監査リソースを配分します。
例:
- 固有リスクが高い場合:多額の現金を取り扱う部署や、複雑な会計処理が必要な取引など。
- 統制リスクが高い場合:内部統制が十分に整備されておらず、不正が行われやすい状況など。
まとめ
固有リスクと統制リスクは、監査人が財務諸表の虚偽表示リスクを評価する上で重要な概念です。監査人は、これらのリスクを適切に評価し、監査計画を策定することで、監査の効率性と有効性を高めることができます。
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