パイプライン処理とは、CPUなどの処理を「命令フェッチ」「デコード」「実行」「結果の書き込み」といった複数の工程(ステージ)に分割し、それらを並行して流れ作業のように処理することで、全体の処理速度(スループット)を向上させる技術です。1つの命令が完了するのを待たずに次の命令の処理を開始できるため、効率的に多くの命令を処理でき、コンピュータの性能向上に不可欠な仕組みとなっています。
仕組みの概要
- 逐次処理との違い: 通常のCPUでは1つの命令が「読み込み→解読→実行→書き込み」の全工程を終えるまで次の命令は開始できませんが、パイプライン処理では命令1が解読に入ったら命令2の読み込みを開始するなど、各ステージを独立させます。
- 例え: 自動車工場での流れ作業に似ており、1台の車が完成する時間は変わらなくても、複数の車を同時に生産できるようになり、単位時間あたりの生産量(スループット)が大幅に向上します。
CPUにおける工程(例)
- 命令フェッチ: メモリから命令を読み込む。
- デコード: 読み込んだ命令の内容を解釈する。
- オペランドフェッチ: 実行に必要なデータをメモリやレジスタから読み込む。
- 実行: 実際に計算などの処理を行う。
- 結果の書き込み: 処理結果をレジスタやメモリに書き戻す。
パイプライン処理のメリット・デメリット
- メリット:
- 高速化: 複数の命令を同時に処理できるため、コンピュータ全体の処理速度が向上する。
- 効率向上: CPUの各部分(ステージ)の利用率が高まる。
- デメリット:
- リソース増加: 各ステージで独立した回路が必要なため、より多くのハードウェアリソースを必要とする。
- 遅延(ハザード): 命令間の依存関係や分岐などで、パイプラインが一時的に停止(ストール)することがある。
応用例
- スーパーパイプライン: パイプラインをさらに細かく分割し、より多くのステージで並列処理を行う(IntelのPentium 4など)。
- 機械学習: データの準備からモデル学習、評価までの一連の流れをパイプライン化し、効率化する。
- ネットワーク/メール: SMTP(メール送信)で複数のコマンド(MAIL, RCPT, DATA)をまとめて送信し、通信を高速化する(メール配信のパイプライン処理)。

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