ToF(Time of Flight)方式とは、光を照射し、対象物に反射してセンサーに戻ってくるまでの「飛行時間」を測定することで距離を算出する技術です。原理が「光速 × 時間 = 距離」であるため、対象物の色や形に影響されにくく、暗い場所でも高精度な距離測定や三次元形状の把握が可能です。自動車の自動運転、産業用ロボット、スマートフォンでの自動ピント合わせなどに活用されています。
原理
- 光の照射:発光源からレーザーやLEDなどの光を対象物に向けて照射します。
- 反射と検出:光が対象物に当たって反射し、その反射光をセンサーが検出します。
- 時間計測:照射してから反射光が戻ってくるまでの時間(飛行時間)を正確に測定します。
- 距離算出:光の速度は一定なので、「距離 = 光速 × 飛行時間」の公式を用いて、対象物までの距離を算出します。
特徴とメリット
- 色や形に左右されない:光の飛行時間で距離を測るため、対象物の表面の反射率や色に影響されにくく、安定した測定が可能です。
- 暗闇でも計測可能:光を照射するため、周囲の明るさに影響されず、暗い環境でも正確に機能します。
- 3D情報の取得:複数の箇所で距離を測ることで、奥行き情報を含んだ三次元的な形状や空間情報を取得できます。
- リアルタイム性:高速な距離計測により、移動する対象物の形状や動きをリアルタイムに捉えることが可能です。
主な応用例
- 自動運転:自動車が周囲の物体までの距離や形状を把握し、衝突回避や自律走行を行うために使われます。
- 産業用ロボット・AGV/AMR:ロボットが作業環境を認識し、障害物を回避したり、正確な位置決めを行ったりするために用いられます。
- スマートフォン:暗い場所でのピント合わせを迅速に行ったり、背景をぼかすエフェクトを生成したりするのに役立ちます。
- 人流解析:施設内の人数のカウントや、人が特定の場所を通過する行動を把握するために活用されています。
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