RASPは、ランタイムアプリケーション自己保護 (Runtime Application Self-Protection) の略語で、アプリケーションの実行中に脅威をリアルタイムで検知・防止するセキュリティ技術です。アプリケーション内部にセキュリティ機能を組み込むことで、従来の外部からの対策では防ぎきれない攻撃を、アプリケーション自体が監視して阻止します。
RASPの仕組み
- アプリケーションに組み込む:アプリケーションやその実行環境に直接、セキュリティ機能を導入します。
- リアルタイムでの監視:アプリケーションの実行中に、プログラムの振る舞いを分析し、悪意のある挙動や入力を監視します。
- 脅威の自動阻止:異常を検知した場合、攻撃をリアルタイムで自動的にブロックします。例えば、不正な入力の阻止、セッションの終了、アラートの送信などが可能です。
- 誤検知の削減:アプリケーションの内部情報を利用するため、真の脅威と誤検知を区別する能力が向上します。
RASPの主なメリット
- リアルタイム保護:攻撃が発生した瞬間にブロックするため、脆弱性が悪用されるのを防ぎます。
- 外部対策との違い:WAF(Web Application Firewall)のような外部から攻撃をブロックする従来の技術とは異なり、アプリケーション内部から保護します。
- 柔軟なデプロイメント:クラウド環境、サーバレス環境など、様々な場所に導入できます。
- 開発との連携:DevOpsのCI/CDパイプラインに統合しやすく、開発初期からセキュリティを組み込むことができます (DevSecOps)。
- 保護コストの削減:多くのサイバー攻撃を防ぐだけでなく、セキュリティチームの負荷も軽減します。
RASPと従来のセキュリティの違い
| 特徴 | RASP (Runtime Application Self-Protection) | 従来のセキュリティ (例: WAF) |
|---|---|---|
| 保護場所 | アプリケーション内部 | アプリケーション外部 |
| 検知方法 | アプリケーションの内部情報や挙動に基づいた分析 | 事前定義されたシグネチャやルールに基づく分析 |
| 対応範囲 | アプリケーションの実行中に、未知の攻撃にも対応可能 | 既知の攻撃パターンに特化 |

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