HSRP(ホットスタンバイルータプロトコル)とVRRP(仮想ルータ冗長化プロトコル)は、どちらもネットワークの冗長化のために使われるプロトコルですが、いくつかの違いがあります。HSRPはCisco独自のプロトコルであるのに対し、VRRPはIETFによって標準化されたプロトコルです。また、HSRPではアクティブ/スタンバイというルータの役割を区別しますが、VRRPではマスター/バックアップという表現を用います。
HSRPとVRRPの主な違い:
- ベンダーの互換性:
- HSRPはCisco独自のプロトコルであるため、Cisco製品でのみ利用可能です。
- VRRPは標準化されたプロトコルであるため、Cisco以外のベンダーのルータでも利用できます。
- プロトコルの種類:
- HSRPはCisco独自のプロトコルで、UDP上で動作します。
- VRRPはIETFによって標準化されたプロトコルで、IP上で動作します。
- ルータの役割:
- HSRPでは、アクティブルータとスタンバイルータという役割を定義します。
- VRRPでは、マスタールータとバックアップルータという役割を定義します。
- 制御フレーム:
- HSRPでは、Hello, Coup, Resign, Advertisementの4種類のフレームを使用します。
- VRRPでは、Advertisementの1種類のフレームを使用します。
- 送信間隔:
- HSRPのHelloメッセージの送信間隔は、デフォルトで3秒です。
- VRRPのAdvertisementメッセージの送信間隔は、デフォルトで1秒です。
- 状態:
- HSRPでは、Init, Learn, Listen, Speak, Standby, Activeの6つの状態を持ちます。
- VRRPでは、Init, Backup, Masterの3つの状態を持ちます。
その他:
- VRRPは、HSRPを基に策定されましたが、いくつかの点で改良されています。
- VRRPでは、仮想IPアドレスを持つルータがIPアドレスオーナーと呼ばれ、優先度が255になります。
- VRRPでは、マスタールータのみがVRRPパケットを送信しますが、HSRPでは、アクティブ/スタンバイルータの両方がパケットを送信します。
どちらのプロトコルを選択するかは、ネットワーク環境や要件によって異なります。Cisco製品のみを使用する環境であればHSRPが便利ですが、マルチベンダー環境ではVRRPが推奨されます。
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