クラスタソフトウェアは、複数のコンピュータ(サーバ)を連携させ、システム全体の高可用性(HA)や拡張性(スケーラビリティ)を高めるためのソフトウェアです。具体的には、稼働中のサーバに障害が発生した場合、自動的に待機中のサーバに処理を引き継ぐ(フェイルオーバー)ことで、システムのダウンタイムを短縮し、サービスを継続させます。商用製品としてはNECのCLUSTERPRO、オープンソース製品としてはPacemaker+Corosyncなどが代表的です。
クラスタソフトウェアの目的
- 高可用性 (High Availability)(システムを止めない):障害発生時もサービスを継続させ、システム停止時間を最小限に抑えます。
- スケーラビリティ (Scalability)(拡張性):複数のサーバに負荷を分散させ、システム全体の処理能力を向上させます。
主な機能
- フェイルオーバー:稼働中のサーバで障害が発生した際に、待機サーバへ自動で処理を切り替えます。
- データ共有:共有ディスクを利用してデータを集中管理したり、ネットワーク経由でデータをミラーリングしたりします。
- 監視機構:サーバーの死活監視、アプリケーションの状態監視などを行い、障害を早期に検知します。
代表的な製品例
- 商用製品
- CLUSTERPRO (NEC):国内で多数の実績があるHAクラスタリングソフトウェアです。
- PRIMECLUSTER (富士通):ミッションクリティカルなシステムで利用される、高信頼性のHAクラスタソフトウェアです。
- オープンソース製品
- Pacemaker+Corosync:Linux環境で高可用性クラスタを構築する際に利用される、代表的なオープンソースソフトウェアです。Pacemakerがアプリケーションの制御を行い、Corosyncがクラスタの通信を制御します。
利用シーン
- 基幹業務システムやデータベースなど、システム停止が許されないミッションクリティカルな環境。
- 計画メンテナンス時でも業務を停止させたくない場合。
- 災害対策として、遠隔地にデータをミラーリングし、バックアップサイトで業務を継続する場合。
コメント