認知的ウォークスルー法とは、ユーザビリティ専門家が「想定ユーザーになりきって」Webサイトやアプリを操作し、使いやすさや学習しやすさを評価する手法です。ユーザーの心理や行動を深く分析し、特定のタスクを実行する際の課題を特定します。ユーザーの協力なしに実施でき、コストや時間を抑えられるため、プロトタイプの初期段階やユーザビリティテストの代替・補完として有効です。
評価の主な手順
- ペルソナとタスクの決定: 評価するユーザーのペルソナ(人物像)と、そのユーザーが実行するであろうタスク(操作手順)を具体的に定義します。
- 分析基準の適用: 各操作ステップごとに、以下の4つの質問に沿って評価します。
- ユーザーは、正しい結果を出そうとするだろうか。
- ユーザーは、正しいアクションを行えることに気づくだろうか。
- ユーザーは、正しいアクションと、達成しようとしている結果とを関連づけられるだろうか。
- アクションの実行後、ユーザーは、目標に向かって前進したということがわかるだろうか。
- 問題点の特定と記録: 上記の質問で「いいえ」と判断された場合、そのステップは「失敗」と記録し、問題点を特定・抽出します。
- 評価結果のまとめと改善策の検討: 全てのタスクの評価が完了したら、失敗と見なされたポイントをまとめ、改善策について話し合います。
この手法のメリット
- 低コスト・短時間: 実際のユーザーを集める必要がないため、コストと時間を抑えられます。
- 初期段階での活用: 設計やプロトタイプの初期段階で実施することで、早い段階で問題を発見し、手戻りを減らすことができます。
- ユーザビリティテストの代替・補完: ユーザビリティテストが困難な場合に代替として使われたり、ユーザビリティテストの前に実施して課題をあらかじめ抽出したりすることが可能です。

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