疎結合とは、システムやソフトウェアの各構成要素(モジュールやサービスなど)がお互いに依存する関係を「緩やか」にし、独立性を高めた状態を指します。これにより、一部の変更が他の部分に影響を与えにくくなり、システムの柔軟性、拡張性、保守性が向上します。
疎結合の主な特徴とメリット
- 独立性が高い: 各要素は他の要素の実装に依存せず、契約(インターフェース)を介して連携するため、部分的な変更が容易です。
- 変更に強い: 一つの部品を修正しても、他の部品への影響が限定的で、システム全体の安定性が保たれます。
- 再利用性・拡張性が高い: 独立した部品は他のシステムでも利用しやすく、新しい機能の追加や差し替えがスムーズです。
- 開発・テストが容易: 担当範囲が明確になり、複数チームでの開発や、各部分の単体テストがしやすくなります。
- マイクロサービス: 疎結合の考え方を応用した代表例で、独立した小さなサービス群でシステムを構築します。
密結合との対比
- 疎結合: 結びつきが弱く、独立性が高い状態。
- 密結合: 結びつきが強く、依存関係が高い状態。一部の変更が広範囲に影響を及ぼす。
具体例
- 苺ショートケーキ: 苺を食べる際に、他の部品(スポンジやクリーム)を崩さずに苺だけ取り出せる状態(疎結合)。
- 苺大福: 苺を取り出すために中身をほじくり出す必要があり、他の部分も崩れる状態(密結合)。
- システム: ユーザー登録後にメール通知とSMS通知を出す場合、メール通知の実装を変更してもSMS通知に影響が出ないように、インターフェースで分離する設計(疎結合)。
疎結合は、変化の激しい現代のITシステムにおいて、柔軟で持続可能なアーキテクチャを構築するための重要な設計思想です。

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