レインボー攻撃(レインボーテーブル攻撃)は、事前に生成されたレインボーテーブル(ハッシュ値とパスワードの対応表)を用いて、漏洩したハッシュ値から元のパスワードを効率的に割り出すサイバー攻撃です。主にWebサービスなどの認証データベースが標的となり、アカウントの乗っ取りや個人情報の窃取被害につながる可能性があります。対策としては、ソルトの追加、強力なハッシュアルゴリズムの利用、パスワードの複雑化、多要素認証の導入などが有効です。
ハッシュ化・・・元のデータを「ハッシュ関数」と呼ばれる特殊な計算で、元のデータとは無関係な不規則な文字列(ハッシュ値」)に変換する処理のことです。
攻撃の仕組み
- ハッシュ化されたパスワードの入手:攻撃者はWebサービスなどから流出したパスワードのハッシュ値を不正に入手します。
- レインボーテーブルの利用:事前に生成されたレインボーテーブルには、様々な平文(元のパスワード)とそれらをハッシュ化した値のペア、またはチェイン(連鎖)が記録されています。
- パスワードの解読:攻撃者は入手したハッシュ値をレインボーテーブルと照合し、対応する元のパスワードを割り出します。
被害の例
- 正規アカウントが不正に利用され、個人情報が窃取される。
- 不正送金などの犯罪行為に利用される。
- Webサービスやアプリのデータベースが攻撃を受け、利用者の情報が解読される恐れがある。
対策方法
- ソルト(Salt)の利用:各パスワードごとにランダムな文字列を加えてハッシュ化する技術です。これにより、同じパスワードでも異なるハッシュ値が生成され、レインボーテーブルでの攻撃を防ぎます。
- 強力なハッシュアルゴリズムの選択:MD5やSHA-1のような脆弱性のあるハッシュアルゴリズムではなく、より安全なアルゴリズムを使用します。
MD5・・・ハッシュ関数として、一連のデータをハッシュ値と呼ばれる固定サイズのビット文字列にマッピングします。(128ビット)
SHA-1(シャーワン)・・・任意の長さのデータを元に160ビットの固定長ハッシュ値を生成する「暗号学的ハッシュ関数」の一つです。
- パスワードの複雑化:ユーザーに推測されにくい複雑なパスワードを設定するよう促します。
- 多要素認証(MFA)の導入:パスワードだけでなく、SMSコードや認証アプリなど、複数の認証要素を組み合わせることで、セキュリティを強化します。
- 多層防御:上記の対策を組み合わせるなど、単一の対策に依存せず、複数のセキュリティ対策を講じることが重要です。
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