ヘリカルアンテナとは、らせん(コイル状)の形をしたアンテナで、円偏波の電波の送受信や、高い利得を得る特徴があります。特に、携帯電話やトランシーバーなどの小型アンテナや、GPSなどの衛星通信、ワイヤレスマイクといった、あらゆる偏波に対応する必要がある用途で用いられます。
主な特徴
- 円偏波対応:ヘリカルアンテナは円偏波の信号を放射・受信するため、アンテナの向きが多少ずれても信号のドロップアウト(受信不能)を大幅に低減できます。
- 高い利得:広い帯域幅を持ち、他のアンテナと比較して高い信号強度を得られることがあります。
- 小型化・柔軟性:らせん状に巻かれたエレメントは、全体を短くできるため、ハンディー型トランシーバーなどの小型機器に適しています。また、表面を柔軟な素材で覆うことで、ぶつけても折れにくい構造にすることも可能です。
用途の例
- 衛星通信:GPSなど、衛星からの信号は円偏波であることが多いため、高い感度で受信するためにヘリカルアンテナが使われています。
- ワイヤレスマイク・無線機器:マイクのドロップアウトを防ぎ、広い周波数帯に対応する目的で採用されています。
- 小型電子機器:Bluetooth®やZigBee®などの無線通信モジュールに内蔵されるアンテナとして、省スペースで高い性能を発揮します。
構造による違い
- エンドファイヤ型::らせんの軸方向に強い放射を持ち、高利得が得られます。
- サイドファイヤ型::平面内が無指向性で、広い帯域幅を扱えます。
- ノーマルモード型::モノポールアンテナを小型化したもので、ハンディー型トランシーバーなどで使用されます。
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