プロセス中心アプローチ(Process Oriented Approach: POA)とは、システム開発におけるアプローチの一つで、業務プロセスや手順を重視してシステムの設計を行う方法です。具体的には、業務の流れを分析し、それを基にシステムの機能やデータを組み立てていきます。
プロセス中心アプローチの特徴:
- 業務プロセスを基盤:業務の流れをシステム設計の基盤とします。
- 機能とデータの連携:業務プロセスに基づいて、必要な機能とデータをシステムに組み込みます。
- DFDなどの図法:データフロー図(DFD)やフローチャートなどの図法を用いて、業務プロセスを可視化します。
プロセス中心アプローチのメリット:
- 業務への適合性:業務の流れを直接システムに反映させるため、業務との適合性が高いです。
- ユーザーへの理解:業務担当者にとって理解しやすいシステムを構築できます。
- 開発の容易さ:比較的単純なシステム開発に適しており、開発期間やコストを抑えやすいです。
プロセス中心アプローチのデメリット:
- データの重複と不整合:同じデータが複数のプロセスで重複して管理される可能性があり、データの整合性が保ちにくくなることがあります。
- 変更への弱さ:業務プロセスが変更されると、システム全体の変更が必要になる場合があります。
- 大規模システムへの不適用:大規模で複雑なシステムの場合、データの重複や変更の複雑さが増大し、適用が難しくなることがあります。
プロセス中心アプローチとデータ中心アプローチの比較:
項目 | プロセス中心アプローチ(POA) | データ中心アプローチ(DOA) |
---|---|---|
焦点 | 業務プロセス | データ |
設計の基盤 | 業務の流れ | データの構造 |
メリット | 業務との適合性、理解の容易さ | データの一貫性、変更への柔軟性 |
デメリット | データ重複、変更への弱さ | 業務との乖離、理解の難しさ |
適用範囲 | 単純な業務、短期的なシステム | 大規模なシステム、長期的なシステム |
例:
例えば、ECサイトの注文処理をシステム化する場合、プロセス中心アプローチでは、まず「注文受付」「支払い処理」「商品発送」といった一連の業務プロセスを洗い出し、それぞれのプロセスに必要な機能をシステムに実装します。
まとめ:
プロセス中心アプローチは、業務プロセスを重視したシステム開発のアプローチであり、比較的単純なシステム開発に適しています。しかし、大規模なシステムや変化の激しい業務には、データ中心アプローチやオブジェクト指向アプローチなど、他のアプローチを検討する必要があります。
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