IT分野におけるトリアージとは、発生した問題(インシデントや脆弱性など)の緊急度や重要度を評価し、限られたリソースを最適に活用するために対応の優先順位を決定するプロセスを指します。医療現場でのトリアージ(多数の傷病者の中から緊急度に応じて治療の優先順位を決めること)から発展した概念であり、サイバーセキュリティやプロジェクト管理、タスク管理など、様々な場面で適用されます。
目的と重要性
- リソースの最適化:人的リソース、時間、コストが限られている中で、最も重要な問題にリソースを集中させることで、全体的な効率を高めます。
- 重大な被害の防止:脆弱性やインシデントのリスク度や影響度を評価し、悪用の可能性が高いものや業務への直接的な影響が大きいものから優先的に対応することで、被害の拡大を防ぎます。
- 安定したITサービスの提供:システム障害やインシデントへの迅速かつ的確な対応は、安定したITサービスを提供するために不可欠です。
具体的な適用例
- サイバーセキュリティ:脆弱性情報やサイバー攻撃の警告、インシデントの発生時などに、対応の優先順位を判断します。
- インシデント管理:システム障害やその他のインシデントが発生した際、その状況や影響を分析し、復旧作業の順序を決めます。
- プロジェクト管理:多くのタスクや課題を抱えているプロジェクトにおいて、時間的・資源的制約の中で実行すべきタスクの優先順位を決定します。
トリアージのプロセス
- 情報収集:発生したインシデントや脆弱性に関する情報を収集します。
- リスク評価:緊急度、重要度、影響度、対応の難易度などを評価します。
- 優先順位付け:評価結果に基づき、対応すべき事象の優先順位を決定します。
- 対応の振り分け:優先度の高い事象に対し、必要な部署や担当者を割り当て、対応を開始します。
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