データ中心アプローチ(DOA: Data Oriented Approach)とは、システム設計の手法の一つで、業務で扱うデータの構造や流れに着目し、データを中心にシステムを設計・開発する方法です。業務プロセスや機能よりも、データ構造の安定性を重視し、データの整合性や一貫性を保ちやすいという特徴があります。
データ中心アプローチ(DOA)の特徴:
- データの安定性:業務プロセスや機能は変化しやすいが、データ構造は比較的安定しているため、データ中心に設計することで、システムの柔軟性や長期的な安定性を確保できます。
- データの整合性・一貫性:データを中心に設計することで、データの重複や矛盾を減らし、システム全体の整合性を保ちやすくなります。
- 変更への柔軟性:業務プロセスや機能が変更になった場合、データ構造は変わらないことが多いため、データ中心アプローチでは、変更の影響範囲を限定しやすく、システム改修が容易になります。
- システム間の連携:データを中心に設計することで、システム間のデータのやり取りが容易になり、システム連携がスムーズになります。
DOAの具体的な流れ:
- データモデリング:業務で扱うデータを分析し、データの種類、関連性、整合性などを定義します。
- データベース設計:データモデリングの結果に基づいて、データベースを設計します。
- システム設計:データベースと連携するシステムの機能やプロセスを設計します。
- システム開発・テスト:設計に基づいてシステムを開発し、テストを行います。
DOAとPOA(プロセス中心アプローチ)の違い:
- POA:業務プロセスや機能を優先的に設計する手法で、従来のシステム設計で主流でした。しかし、システム間の連携が複雑になりやすく、変更に弱いというデメリットがありました。
- DOA:データを優先的に設計する手法で、POAのデメリットを克服し、柔軟性や保守性の高いシステムを構築できます。
DOAは、特に大規模システムや複数システム間でデータをやり取りするような場面で、データの正確性・一貫性を保ちながら、効率的に処理を行える点が大きな特長です。
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