サンプリングリスクとは、抽出したサンプル(一部)が母集団(全体)の特性を正確に反映しないことによって、母集団全体について誤った結論を導いてしまうリスクのことです。例えば、内部統制の評価において、実際には有効な統制を無効だと判断してしまったり、逆に実際には無効な統制を有効だと判断してしまったりする可能性があります。これは、監査や内部統制評価において、一部のサンプルだけで全体を判断しようとする際に必ず生じるリスクであり、サンプル数や抽出方法によって影響が異なります。
サンプリングリスクの内容
- 内部統制評価での過大評価
- サンプルに多くの逸脱が見つかったため、実際よりも統制が有効でないと判断してしまうリスクです。
- これにより、不必要な追加の評価手続が発生し、監査の効率性が損なわれる可能性があります。
- 内部統制評価での過小評価
- サンプルにはほとんど逸脱が見つからなかったため、実際よりも統制が有効であると判断してしまうリスクです。
- 結果として、本来発見されるべき問題点を見逃してしまい、重大な虚偽表示に繋がる可能性があります。
サンプリングリスクを軽減する方法
- 適切なサンプル数の決定:許容できるリスクの程度に応じて、適切なサンプル数を設定します。
- 無作為な抽出方法の採用:統計的サンプリングのような確率論に基づいた無作為抽出方法により、サンプルの偏りを低減します。
- 母集団の階層化:母集団のバラツキを小さくするため、階層化(グループ分け)を行い、各グループからサンプルを抽出します。
対義語
サンプリングリスクと対照的に、不適切な監査手続の適用や監査証拠の誤った解釈など、サンプリング以外の理由で生じる評価の誤りは、ノンサンプリングリスク(非サンプリングリスク)と呼ばれます。
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