【応用情報技術者試験】クロスライセンス

クロスライセンスとは、複数の企業が保有する特許などの知的財産権を、互いに利用できるように許諾する契約のことです。これにより、特許侵害のリスクを回避し、技術の相互補完による製品開発の促進や競争力強化が期待できます。特許料の支払いが不要になる、または低額に抑えられる場合が多い一方で、自社技術の利用が他社に広がる、相手への依存度が増すといったデメリットや、独占禁止法に抵触する可能性にも注意が必要です。

クロスライセンスの仕組みと目的

  • 相互の技術利用:自社の特許技術を相手にライセンス(実施許諾)し、同時に相手方の特許技術を自社も利用できるようにする契約です。
  • 特許侵害の回避:一つの製品や技術に複数の特許技術が使われている場合、それぞれの特許権者が互いの特許を侵害せずに製品を製造・販売できるようになるため、特許紛争を未然に防ぐ効果があります。
  • 技術の発展:互いの持つ技術を補完し合うことで、製品の品質向上や技術開発の効率化が図れ、相乗効果を生み出すことができます。

利用されるケース

  • 基本特許と改良特許の関係:基本特許を持つ企業と、それを改良した特許を持つ企業が互いにライセンスすることで、双方の技術を円滑に実施できるようにします。
  • 複合技術の製品:スマートフォンなど、多くの技術が集まって一つの製品になる場合、それぞれの技術を持つ企業同士がクロスライセンスを結ぶことで、製品全体の開発・製造が可能になります。
  • パテントプール:特定の分野の特許を保有する複数の企業がコンソーシアム(企業連合)を組み、特許をまとめて管理し、互いにライセンスする仕組みです。

メリットとデメリット

  • メリット
    • 特許紛争のリスク低減
    • 特許料が不要または低額になる場合がある
    • 技術の相互利用によるオープンイノベーションの推進
  • デメリット
    • 自社の独占的な技術が他社に利用される
    • 相手企業への依存度が増す可能性がある
    • 協力体制が行き過ぎると独占禁止法に抵触するリスクがある

注意点

  • 独占禁止法への抵触::特定の製品市場において、関係企業の合計シェアが高い場合、共同で価格や数量を決めるといった行為は、競争を実質的に制限し、独占禁止法に違反する可能性があります。

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