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【応用情報技術者試験】経営戦略を学ぼう!     ~第1章~経営組織

経営組織とは、共通の目的(事業成果)を達成するために2人以上のメンバーが協業し、役割や責任を明確に定めた構造・体制のことです。機能別、事業部制、マトリックス型などの形態があり、経営戦略に合わせて組織文化、効率、意思決定速度を最適化することが目的です。

画像参照:https://www.cyber-u.ac.jp/subject/management_organization.html

経営組織の形態

企業の代表的な組織形態には、事業部制職能別マトリクスがあります。

事業部制組織

事業部制組織は、本社の下に製品・地域・顧客別の「事業部」を配置し、各事業部が開発・製造・販売などの機能を持つ独立採算制の組織形態です。意思決定が非常に迅速で、事業専門性が高まる一方、部門間の壁が生じやすく、資源(コスト)が重複しやすいデメリットがあります。 

主な特徴

  • 権限委譲: 事業部単位で「開発」「製造」「販売」など必要な機能(職能)を抱え、独自の判断で運営される。
  • 独立採算制: 事業部ごとに収益責任を負う。
  • 専門化: 製品やエリアに特化した戦略をとれる。

メリット

  • 迅速な意思決定: 本社に稟議を通す時間が削減され、市場の変化にすばやく対応できる。
  • 事業ごとの責任の明確化: 各事業部の利益が明確になるため、パフォーマンス評価がしやすい。
  • 多角化・拡大への対応: 事業単位で経営できるため、製品や市場が増えた際に管理しやすい。 

稟議(りんぎ)
組織において個人の権限では決定できない案件に対し、申請書(稟議書)を用いて関係各所から順次承認を得て、最終的な決裁をとる手続きです。

デメリット

  • 管理コスト・資源の重複: 事業部ごとに人事、経理、総務などのバックオフィスが必要になり、コストがかさむ。
  • 縦割り組織化(壁): 事業部間の交流が減り、知見共有や全社的な協力体制が構築しにくい。
  • 事業部最適化(局所最適): 会社全体より、自分の事業部の利益を優先してしまうリスクがある。

バックオフィス
経理、人事、総務、法務、情報システムなど、直接顧客と接しない「後方支援」業務の総称です。

事業部制と他組織の比較

  • 職能別組織: 開発、営業など機能別で分かれる。小〜中規模向け。
  • カンパニー制: 事業部制に似ているが、さらに独立性が高い(子会社に近い)。 

カンパニー制(社内分社制)
大企業が社内の事業部門を独立した会社のように扱い、大幅な権限委譲と独立採算制を採用する組織形態です。

事業部制は、大手製造業や多角化戦略をとる企業(例:パナソニックなど)で多く採用されている組織形態です。

職能別組織

職能別組織(機能別組織)は、営業、製造、人事、経理など、業務の機能や専門性に基づいて部門を編成する組織形態です。経営トップに権限が集中し、専門的知識が蓄積しやすい 一方で、部門間の連携が弱まりやすく、単一事業を展開する中小企業に最適とされます。 

特徴

  • 専門性の向上: 同じ機能を持つ人材が集まるため、スキルアップや知識の共有が円滑。
  • 経営統制が容易: 意思決定がトップに集中し、方針を統一しやすい。
  • 効率的な運営: 業務の重複が少なく、規模の経済が働きやすい。
  • 「タテ」の連携: 専門分野内でのコミュニケーションは活性化しやすい。

規模の経済
生産量や事業規模が拡大するにつれ、1製品あたりの固定費(設備・人件費など)が分散され、平均コストが低下する現象です。

メリット

  • 専門家が育ちやすい: 専門分野に集中できるため、高度なスキルを持つ人材(スペシャリスト)が育成される。
  • 教育研修の効率化: ノウハウが蓄積・共有されやすく、新人教育も安定して行える。
  • 単一事業に最適: 製品の種類が少ない場合、コストを抑えて大量生産しやすい。

デメリット

  • セクショナリズム(縦割り): 他部署の業務への理解が不足し、セクショナリズムが発生しやすい。
  • 連携不足: 部署間での調整が必要な複雑な課題に対応しにくい。
  • 経営人材が育ちにくい: 全体俯瞰ができるジェネラリストの育成が難しい。
  • 意思決定の遅れ: トップに判断が集中するため、規模が大きくなると意思決定が滞る可能性がある。 

ジェネラリスト
幅広い分野の知識・経験を持ち、多様な状況や課題に柔軟に対応できるオールラウンドな人材です。

事業部制組織との違い

職能別組織が機能(営業、製造など)で分かれるのに対し、事業部制組織は製品・地域・顧客ごとに独立した部門を設けます。事業部制は多角化企業に向いていますが、職能別組織は機能的な分業に強みがあります。

マトリクス組織

マトリクス組織は、機能別(営業、開発等)と事業別・エリア別(製品A、アジア地域等)の2つの指揮命令系統を縦横に組み合わせた組織構造です。1人の社員が2人の上司を持つことで、専門性を維持しつつ、部門横断的な迅速な意思決定とリソースの効率活用が可能になります。 

特徴

  • 複眼的な管理: 縦軸(機能部門)と横軸(プロジェクトや事業部)が交差する。
  • 二重の指揮命令: 社員は部門長とプロジェクトマネージャーの両方から指示を受ける。
  • 1960年代のNASA: アポロ計画の複雑なプロジェクトを推進するため、NASAが採用・普及させた。 

メリット

  • 迅速な対応: 複数のプロジェクトや地域に柔軟に対応できる。
  • 高度な専門性: 職能部門の専門性を保持しながら、横断的な事業推進ができる。
  • 人材の最大活用: 複数のプロジェクト間でスキルを共有・活用できる。 

デメリット

  • 指揮命令の混乱: 2人の上司からの指示が衝突するリスク。
  • コンフリクトの発生: 縦と横の部門間で利害調整が難航しやすい。
  • 管理コスト: 意思決定に時間を要する場合があり、管理職の負担も増大。

導入時のポイント

  • 明確な優先順位付けと、権限配分(ウィーク型、バランス型、ストロング型)の設計。
  • 上司間の連携と、社員のストレス管理(コミュニケーション)。 

この組織は、市場の変化が速く、多角的な事業展開を行う企業に適しています。 

権限配分の種類

マトリクス組織における「ウィーク型」「バランス型」「ストロング型」は、機能マネージャー(組織の縦軸・専門性)とプロジェクトマネージャー(組織の横軸・目的)のどちらに強い権限があるかによって分類されます。 

それぞれの特徴は以下の通りです。

ウィーク型(弱マトリクス)

  • 特徴: プロジェクトマネージャー(PM)を設置しないか、設置しても権限が非常に弱い形式。機能部門の長(マネージャー)が強い権限を持ち、プロジェクト活動は各専門部門の業務のついでに行われるイメージです。
  • 権限の所在: 機能マネージャーにほぼすべての権限がある。
  • メリット: 専門性が維持しやすい。
  • デメリット: プロジェクトの目的が疎かになりやすく、部門間の調整に時間がかかる。 

バランス型(バランス・マトリクス)

  • 特徴: 機能マネージャーとプロジェクトマネージャーが対等な立場で、権限を共有する形式。通常、プロジェクトメンバーの中からリーダー(マネージャー)を選出し、職能部門のリーダーがプロジェクトを兼任するケースが多い。
  • 権限の所在: 機能マネージャーとプロジェクトマネージャーにバランス良く分散。
  • メリット: 専門的な技術とプロジェクト目標の達成が両立しやすい。
  • デメリット: 指揮命令系統が二重になり、メンバーが混乱しやすい。

ストロング型(強マトリクス)

  • 特徴: プロジェクトマネージャーがフルタイムで配置され、強い権限を持つ形式。プロジェクト推進の責任を負い、機能マネージャーの権限は限定的です。
  • 権限の所在: プロジェクトマネージャーに強力な権限がある。
  • メリット: プロジェクトのスピード感や目標達成力が高い。
  • デメリット: 機能部門の専門性が薄れたり、メンバーの育成が疎かになりがち。

企業の責任者

企業の責任者に関わる用語を下記に記載します。

用語説明
CEO(最高経営責任者)企業の経営方針や長期戦略の策定・最終決定を行うトップの役職です。
CIO(最高情報責任者)企業・組織の情報システムやIT戦略を統括する経営幹部です。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス(企業統治)とは、企業が不祥事を防ぎ、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、透明・公正かつ迅速な意思決定を行うための管理・監督体制です。社外取締役の導入、内部統制の整備、株主との対話促進などが主な柱であり、日本では東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード」に基づき上場企業に実施が求められています。

要点

  • 目的: 経営の透明性確保、不祥事防止、ステークホルダー(株主・従業員・顧客・地域社会)の利益保護。
  • 主な手法: 社外取締役の設置、内部統制システム(リスク管理・コンプライアンス)の構築、情報開示。
  • コードの原則: 株主の権利・平等性、適切・透明な情報開示、取締役会の責務、対話などが基本。
  • 現状: 「コンプライ・オア・エクスプレイン(原則遵守か、さもなくば説明か)」の原則に基づき、上場企業は報告書の提出が義務付けられている。 

強化のメリットと課題

  • メリット: 社会的信用向上、経営の効率化、投資家からの信頼獲得による資金調達の円滑化。
  • 課題: 意思決定の遅れ、社外取締役の人材不足、社内体制整備のコスト。 

本質的には「会社は経営者のものではなく、株主(ステークホルダー)のもの」という考えに基づき、経営者が公正な判断をしているかを監視・規律する仕組みです。

CSR(Corporate Social Responsibility)

CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」を意味し、企業が利益追求だけでなく、環境、倫理、地域社会、従業員などステークホルダーへの配慮を通じて持続可能な社会に貢献する取り組みです。法令遵守(コンプライアンス)を超え、自主的に社会へ貢献することで、企業イメージ向上や持続的な成長を目指します。 

主な活動内容とメリット

  • 環境保護: 省エネ、廃棄物削減、植樹活動。
  • 社会貢献: ボランティア、寄付、地域イベントへの参加。
  • 倫理的行動: 公正な取引、人権保護、法令遵守。
  • メリット: ブランド価値向上、優秀な人材の確保、リスク回避、投資家からの評価向上。 

IR(Investor Relations)

IR(Investor Relations)とは、企業が株主や投資家に対し、経営状態、財務状況、業績、今後の見通しなどの情報を開示し、対話を行う広報活動のこと。目的は、企業の正しい評価を得て、安定した株価と信頼関係を構築することです。決算説明会、IRサイト、アニュアルレポートなどで情報を発信します。

主な特徴と目的

  • 投資判断情報の提供: 業績や事業計画など、投資家が株式の購入・売却を判断するための情報を提供。
  • 公平な評価: 適切な情報開示により、資本市場で自社株式が公正な価格で評価されることを目指す。
  • ファン作り: 長期的な株主(ファン)を増やすことで、株価の安定や安定的な資金調達を図る。
  • 経営の質向上: 投資家からのフィードバック(評価)を受けることで、経営の透明性を高める。 

具体的なIR活動の例

  • 決算説明会: 経営陣が四半期や通期の業績・見通しを直接説明。
  • IRサイト・Webサイト: ホームページ上で有価証券報告書、決算短信、会社説明資料などを公開。
  • 1on1/個別ミーティング: 機関投資家と個別に面談を実施。
  • アニュアルレポート/株主通信: 財務情報や事業戦略をまとめた報告書。
  • 施設/工場見学会: 事業内容を理解してもらうための見学会。 

IR(投資家向け広報)と広報(PR)の違い

  • IR: 株主・投資家が対象。投資判断のための情報を発信。
  • 広報(PR): 社会全般が対象。商品や企業イメージの向上を目的とする。

近年では、SNSやメール配信を活用した個人投資家向けの情報発信も重要視されています。

BCP(Business Continuity Plan)

BCP(事業継続計画)とは、自然災害、火災、テロ、感染症などの緊急事態に遭遇した際、企業が損害を最小限に抑え、中核事業を迅速に復旧・継続するための計画です。事前にリスクを想定し、人命安全の確保、重要業務の絞り込み、代替策を定義することで、経営基盤の維持と社会的信用の維持・向上を図ります。

概要

  • 目的: 緊急時における損害の最小化と、重要業務の早期復旧・継続。
  • 対象リスク: 地震、台風、洪水、パンデミック、サイバー攻撃、火災など。
  • 構成要素:
    • 優先業務の特定: 最優先で復旧すべき業務の決定。
    • 目標復旧時間(RTO): いつまでに復旧させるかの設定。
    • 代替策の確保: 人・モノ・情報(バックアップ、代替拠点など)の確保。
    • 体制と連絡網: 組織内の役割分担と通信手段の明確化。

BCPを策定するメリット

  • 経営損失の防止: 事業中断による売上減少や取引停止のリスクを低減。
  • 社会的信頼の維持: 早期復旧により、顧客や取引先からの信頼を確保。
  • 従業員の安全確保: 計画に基づいた迅速な避難や安否確認。

BCPの策定プロセス

  1. 基本方針の立案・体制構築
  2. リスクの洗い出しと影響分析
  3. 重要業務の特定と目標復旧時間の設定
  4. 具体的な対策の立案・文書化
  5. 教育・訓練の実施(見直し)

防災対策との違い

従来の「防災対策」は主に人命や施設を守るための減災が目的ですが、BCPは「その後も事業を続ける」という目的達成のための戦略的な取り組みです。

近年のトレンドと義務化

  • ITの保護: システムやデータのバックアップ、二重化。
  • 介護・医療の義務化: 2024年から介護サービス事業者に対し、BCPの策定と訓練が義務化。
  • 中小企業の支援: 中小企業庁は「事業継続力強化計画」の認定制度を設け、税制優遇などを支援しています。

研修技法

研修技法は、講義、討議、実技など目的や対象に応じて知識・スキル・意識を変容させる手法です。講義型(知識伝達)、対話型(気づき・共有)、実践型(スキル習得)に大別され、ブリンカーホフの法則に基づき研修前後のフォローを含めた設計が効果最大化に不可欠です。 

代表的な研修技法と特徴

研修は「目的」と「学習目標」に合わせて最適な手法を選択します。 

  • 講義法(レクチャー)
    • 概要: 講師が受講者に知識や情報を一方的に伝える。
    • 特徴: 短時間で多くの人数に体系的な知識を伝えられる(講演、報告会など)。
  • 討議法(グループディスカッション)
    • 概要: グループで話し合い、意見交換や問題解決を行う。
    • 特徴: 主体的な気づき、コミュニケーション能力向上(ブレーンストーミング、課題討議法)。
  • 事例研究法(ケースメソッド)
    • 概要: 実際の事例を基に、分析・解決策を考える。
    • 特徴: 実践的な問題解決能力や判断力を養成できる。
  • 役割演技法(ロールプレイング)
    • 概要: 特定の状況を設定し、演じることでスキルを習得する。
    • 特徴: マナー研修や営業・面談指導など実技・態度の習得に最適。
  • OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)
    • 概要: 実際の業務を通じて直接指導する。
    • 特徴: 「意図的・計画的・継続的」の三原則が重要。

研修効果を高めるポイント

  • 目的・目標の明確化: 知識・技能・態度のうち、何を目的とするか明確にする。
  • ブリンカーホフの法則(4:2:4): 研修効果が出ない原因は、4割が研修前、2割が研修内容、4割が研修後にあるため、特に事前・事後のフォローが重要。
  • 評価と改善: 研修の目標達成度を測定(アンケート、テストなど)し、改善を繰り返す。 

形式による分類

  • 集合型研修(座学): 対面で実施。一体感や丁寧な指導。
  • オンライン研修: 遠隔地から参加可能。柔軟な対応。
  • eラーニング: 自分のペースで学習可能。知識習得向け。

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