スポンサーリンク

【応用情報技術者試験】システム戦略を学ぼう!     ~第5章~経営管理システム

経営管理システムは、財務・人事・販売など社内に散在するデータを一元化し、経営状況をリアルタイムに可視化するツールです。予算管理や予実分析により、勘に頼らないデータ駆動型の迅速な意思決定を可能にし、業務効率化と内部統制の強化を実現します。

画像参照:https://it-trend.jp/business_management_system/article/860-762

SCM(Supply Chain Management)

SCM(サプライチェーンマネジメント)は、原材料の調達から製造、物流、販売までの全工程を一元管理し、企業間の枠を超えて「モノ」「カネ」「情報」のフローを最適化する経営手法。目的は、在庫削減、リードタイム短縮、コスト削減、そして顧客満足度の向上(欠品防止)である。 

リードタイム
製品の受注、原材料の調達、製造、配送といった工程の始めから終わりまでにかかる全所要期間(日数・時間)のことです。

重要ポイント

  • 全体最適化: 個別の工程(製造や物流)だけでなく、供給連鎖全体での効率化を追求。
  • ITの活用: ITシステムを用いてリアルタイムに情報共有・可視化を行い、需要変動に対応。
  • 対象範囲: 原材料・部品調達  生産  物流  小売  最終消費者。
  • メリット: コスト削減、生産性向上、需要に応じた柔軟な供給。

現代のグローバル化や不確実なビジネス環境において、サプライチェーンの安定化・効率化は競争力強化に不可欠な戦略となっている。

CRM(Customer Relationship Management)

CRM(顧客関係管理)は、顧客情報を一元管理し、良好な関係を築くことで顧客満足度とLTV(生涯価値)を最大化する経営手法・システムです。氏名、購買履歴、問い合わせ履歴を収集・分析し、一人ひとりに適したアプローチを行うことで、マーケティングや営業の効率化、売上向上を実現します。 

LTV
1人の顧客が取引開始から終了までに自社にもたらす総利益のことです。

主な機能とメリット

  • 顧客情報の一元管理: 散在するデータをまとめ、社内で共有可能にする。
  • 顧客分析とアプローチ: 購買行動や嗜好を分析し、最適なマーケティング(メール配信、クーポン等)を実施。
  • 顧客サポートの強化: 問い合わせ履歴を即座に把握し、対応品質とスピードを向上。
  • 営業効率の向上: 見込み顧客の進捗を管理し、成約率を高める。 

見込み顧客(リード)
自社の商品やサービスに興味を持ち、将来的に購入・契約する可能性が高いターゲット層です。

導入のポイント

  • 目的の明確化: 顧客満足度向上か、新規獲得かなど、目的を定める。
  • ツールの選定: Salesforce、Microsoft Dynamics 365、Oracleなどのクラウド型が一般的。
  • 長期的な運用: 効果が出るまで時間がかかるため、組織的なデータ入力と活用体制が必要。 

CRMは、顧客の多様化するニーズに対応し、持続的な成長を目指す企業に不可欠なツールとなっています。

SFA(Sales Force Automation)

SFA(Sales Force Automation:営業支援システム)は、顧客情報や商談の進捗状況、営業担当者の行動をデジタル化し、見える化・自動化するツールです。営業プロセスを最適化して効率化や成約率向上を目指すもので、主に案件管理、顧客管理、売上予測機能などを備え、営業組織の目標達成を強力にサポートします。 

主なメリット

  • 営業活動の見える化: 商談の停滞や次に行うべきアクションが明確になり、フォロー漏れを防ぐ。
  • 効率化・自動化: 報告業務やデータ入力をスマホから簡単に行え、時間や手間を削減する。
  • 属人化の解消: 営業の知見やノウハウを共有し、チーム全体の標準化を促進する。 

CRMやMAとの違い

  • SFA: 進行中の案件や営業活動の「管理」に焦点。
  • CRM(顧客関係管理): 顧客情報や購入履歴の「蓄積」や長期的な関係構築に焦点。
  • MA(マーケティングオートメーション): 見込み顧客の獲得や育成に焦点。

代表的なSFAツール
Mazrica Sales、Zoho CRM、GENIEE SFA/CRM、kintone、Sales Force Assistant、HubSpot、GRIDY SFAなど。

ナレッジマネジメント

ナレッジマネジメントは、社員個人の「知識・経験(暗黙知)」を組織全体で共有・活用し、組織力の強化、生産性向上、技術革新を目指す経営管理手法です。情報共有の属人化を防ぎ、効率的な業務運営や組織内での「集合知」の創造に貢献します。 

目的とメリット

  • 業務の標準化と効率化: マニュアル化により、誰もが同レベルの業務処理を可能にし、教育コストを削減。
  • 業務の属人化解消: 特定の担当者しか知らない知識を組織全体に展開できる。
  • 意思決定の迅速化: 必要な情報や知見を組織全体で即座に活用できる。
  • 創造的な新規事業の創出: 既存の知識を基に新しいアイデアや技術を生み出す。 

知識の分類(暗黙知と形式知)

ナレッジマネジメントは、知識を2つのタイプに分類し、暗黙知を形式知へ変換(SECIモデルなど)することを目標とする。 

  • 暗黙知: 経験や勘に基づく、言語化・数値化されていない個人のノウハウ。
  • 形式知: マニュアルやデータベースのように、誰でも理解できる言葉や形式にされた知識。 

主な手法とツール

  • ナレッジベース・FAQツールの活用: FAQ、業務マニュアル、報告書をデータベース化し、検索可能にする。
  • 社内SNS・コラボレーションツール: 社員同士が手軽に情報を交換し、ノウハウを共有する仕組み。
  • 社内研修・インタビュー: 専門的な知識を持つ社員から経験談を聞き出し、可視化する。 

導入のステップ

  1. ナレッジの発見: サーベイやインタビューを通じて、個人の知識を収集。
  2. ナレッジの取り込み: 文書化、図解化し、暗黙知を外部化する。
  3. ナレッジの共有: データベース化などにより、誰でもアクセス可能な状態にする。
  4. ナレッジの適用: 現場での業務に活用し、成果に繋げる。 

サーベイ
組織の全体像や現状を把握するために広範囲で実施される調査・測定のことです。

注意点

ナレッジマネジメントを成功させるためには、知識の共有が個人の評価に繋がるような仕組み作りが重要であり、単なるツール導入だけでは失敗する可能性が高い。

ビジネスシステム

ビジネスの現場で利用される情報システムです。
代表的なビジネスシステムを下記に記載します。

POS(Point of Sale)

POS(ポス)システムは「販売時点情報管理」の略で、会計時に商品名、価格、在庫数、顧客属性などのデータをリアルタイムに記録・分析するシステムです。主なメリットは、売れ筋商品の把握、在庫の自動更新、レジ業務の効率化です。種類はターミナル型、PC型、タブレット型があります。 

主な機能とメリット

  • 売上・顧客分析: 誰に、いつ、何を売ったか、商品別・時間帯別・店舗別に詳細なデータを分析できます。
  • 在庫管理の自動化: 販売と同時に在庫数が更新されるため、欠品や過剰在庫を防げます。
  • 業務の効率化・ミス削減: バーコード読み取りや自動釣銭機により、会計速度が上がり、人的ミスも減少します。
  • 複数店舗管理: 全店の情報を本社(本部)でリアルタイムに一元管理できます。
  • キャッシュレス・インボイス対応: クレジット決済、電子マネー、QRコード決済と連携し、法令改正(インボイス制度)にも対応可能です。 

POSシステムの種類

  • ターミナル型: コンビニやスーパーで主流の専用レジ。機能が豊富で高耐久。
  • パソコン型: PCにソフトをインストール。柔軟なカスタマイズが可能。
  • タブレット型: iPadなどの端末を使用。低コストで導入でき、省スペース。 

小規模店舗では低コストなタブレット型、大型店舗では専用機であるターミナル型が選ばれる傾向にあります。

EOS(Electronic Ordering System)

EOS(Electronic Ordering System:電子発注システム)は、小売店や卸売業者間におけるオンライン上の受発注システムです。FAXや紙の伝票に代わり、端末から直接データを送受信することで、発注業務の効率化、ヒューマンエラーの削減、在庫の適正化をリアルタイムに実現します。 

主な特徴とメリット

  • 効率的な発注: 店舗スタッフがモバイル端末やPOS端末を利用して、陳列棚や倉庫で在庫を確認しながら、その場で発注入力が可能です。
  • コストとミスの削減: 紙の伝票作成や電話・FAX対応が不要になり、業務時間と人件費を削減できます。また、手入力によるミスも減らせます。
  • 在庫最適化: 卸売業者とリアルタイムに在庫情報を共有できるため、品切れ(機会損失)や過剰在庫のリスクを低減します。
  • EDI(電子データ交換)の一部: EOSは主に発注業務に特化していますが、より広範囲な注文・請求処理全般を指すEDIの一部として組み込まれていることが一般的です。

EDI(Electronic Data Interchange:電子データ交換)
企業間の受発注や請求などの商取引文書を、インターネットや専用回線を通じて標準規格化された形式で自動交換する仕組みです。

EDIに関する規約

EDI(電子データ交換)の規約は、企業間で商取引データを通信回線経由で自動交換するための「共通ルール」です。主にネットワーク技術(手順)、データ形式(フォーマット)、業務運用ルール、法的取引基本規約の4階層で構成され、互換性確保により事務コストを削減します。流通BMSや鉄鋼EDIなど、業界ごとの標準規約が存在します。 

EDIの4つの基本規約(階層)

EDIを機能させるためには、以下の4つの規約が標準化されている必要があります。 

  1. 情報伝達規約(プロトコル): ネットワーク通信手段、伝送手順(例: https, AS2, JX手順)
  2. 情報表現規約(データフォーマット): データの構造、項目、レイアウト定義(例: EDIFACT, XML, 流通BMS)
  3. 業務運用規約: 業務フロー、エラー時の対応、データ訂正方法
  4. 取引基本規約(法的規約): EDIデータの法的効力、検収・支払時期の取り決め 

主な標準EDI規約・形式

業界ごとに標準化された規約を採用することで、取引先ごとにシステムを個別開発する手間を省きます。 

  • 流通BMS(流通ビジネスメッセージ標準): 流通・小売業界のデファクトスタンダード。XMLベース
  • 鉄鋼EDI: 鉄鋼業界の共通規約
  • EIAJ-EDI: 電子部品・機器業界の標準
  • EDIFACT: 国際標準のメッセージ規約 

エンジニアリングシステム

主に生産現場で利用される情報システムです。
代表的なエンジニアリングシステムを下記に記載します。

MRP(Material Requirements Planning)

MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)は、製造業において「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」調達・生産するための計画手法です。製品の生産計画に基づき、部品表(BOM)や在庫情報を基に、必要な部品・原材料の量と時期を自動計算し、適正在庫と効率的な生産を実現します。 

部品表(BOM:Bill Of Materials)
製品の製造に必要な部品、原材料、組図などの構成情報と数量、階層構造をまとめた一覧表です。

組図(組立図、Assy図)
複数の部品を組み合わせて製品の全体像や構成、配置、動作を示した図面です。

概要と仕組み

  • 目的: 在庫コスト削減、欠品防止、生産効率の向上。
  • 特徴: 品番単位で資材の総量を管理し、共通部品をまとめて手配するのに最適。
  • 必要な情報: 生産計画(MPS)、部品表(BOM)、在庫情報、リードタイム(調達・製造期間)。
  • メリット: 在庫最適化、計画変更への迅速な対応。
  • 注意点: 正確なマスターデータ(特に在庫数とBOM)がなければ、不正確な計画になる。 

MPS(基準生産計画:Master Production Schedule)
製品の完成日を基準に「いつ、何を、どれだけ」生産するかを定めた中期的な実行計画です。

マスターデータ
企業や組織の業務システムにおいて、顧客、商品、社員などの「基礎となる情報」のことです。

MRPの一般的な7つの手順 

  1. 需要予測・受注確定: 何をいつ作るか決める。
  2. ネット要求量の計算: 必要量から在庫を差し引く。
  3. 所要量の計算: 部品表に基づき階層ごとの必要量を算出。
  4. 発注量の計算: 在庫と照らし合わせ、手配する量を決定。
  5. 調達計画の作成: 仕入れ先や製造ラインへの発注計画。
  6. スケジュール調整: リードタイムを考慮し納期を設定。
  7. 監視と改善: 状況に合わせて計画を見直す。 

関連用語

  • ERP (Enterprise Resource Planning): ヒト・モノ・カネ・情報を統合管理するシステム。MRP機能を含む。
  • 製番管理: 受注ごとの個別の番号で管理する手法。個別受注生産向け。
  • MRPII (Manufacturing Resource Planning): 資材だけでなく人や設備も含めた広義の資源計画。

CAD(Computer-Aided Design)

CAD(キャド、Computer-Aided Design)は、コンピュータを用いて製品や建物の設計・製図を行うツールです。手書きに比べ修正や再利用が容易で、2D(平面)と3D(立体)があり、製造、建築、土木など様々な産業で必須の技術となっています。

主な種類と特徴

  • 2D CAD: 従来の図面(平面図・断面図)をデジタル化し、線や円で描画する。設計図や詳細図に利用される。
  • 3D CAD: 幅、奥行き、高さをコンピュータ上に表現する。複雑な形状の設計、シミュレーション、干渉チェックが可能。
  • 用途による分類:
    • 汎用CAD: 分野を問わず幅広く使用できる(例: AutoCAD)。
    • 専用CAD: 建築(BIM)、機械、土木など、特定の分野に特化した機能を持つ。

メリット

  • 修正と再利用が容易: 手書きよりも迅速に修正でき、過去のデータを流用可能。
  • 正確な設計: 数値入力による精密な作図や、自動計算機能が利用可能。
  • 効率化: 図面作成の時間を短縮し、3Dモデルを利用した製品開発プロセス全体の最適化ができる。 

代表的なCADソフト

  • AutoCAD: 建築、機械など多分野で使われる業界トップシェアの汎用ソフト。
  • SolidWorks: 機械設計に強い3D CAD。
  • Revit: 建築設計(BIM)に特化した3Dソフト。
  • Jw_cad: 建築分野でよく使われる無料の2D CAD。 

CADは、製品開発における試作削減や、建設における建物情報モデル化(BIM)など、現代のモノづくりにおいて不可欠な役割を果たしています。

e-ビジネス

eビジネス(e-business)とは、インターネットや情報通信技術を活用し、販売、マーケティング、顧客対応、受発注、在庫管理など、企業活動全般のプロセスを全面的に電子化・効率化するビジネスモデルの総称です。単なるオンライン販売(EC)に留まらず、業務全体の変革(BPR)を含めた概念であり、24時間365日営業やデータに基づく顧客分析が強みです。

誰と誰で商取引を行うかで名称が定められています。
下記に整理します。

名称説明
BtoB企業が他の企業を対象に商品やサービスを提供する「企業間取引」です。
BtoC企業が一般消費者を対象に商品やサービスを直接提供するビジネスモデルです。
CtoCメルカリやヤフオクのように、個人同士がサービスやプラットフォームを介してモノやサービスを直接売買するビジネスモデルです。
GtoB政府や自治体(行政)が企業を相手に行う電子商取引や行政手続きの総称です。
GtoC政府や自治体が住民(個人)に対して、行政サービスやモノをオンラインで提供する仕組みです。

RFID

RFID(無線自動識別)は、電波を用いてICタグのデータを非接触で読み書きする技術です。複数のタグを一括で高速に読み取れ、隠れた場所の荷物や汚れたタグも識別できるため、物流管理、店舗のセルフレジ、備品管理、入退室管理などで大幅な効率化と人手不足解消に貢献しています。 

基礎知識と特徴

  • 構成要素: RFタグ(情報記録)、リーダライタ(通信機器)、アプリケーション(データ処理)。
  • 主な特徴:
    • 非接触・一括読み取り: 離れた場所から、梱包された状態でも複数同時に通信可能。
    • 高速・正確: バーコードと異なり、汚れていたり視認できなくても識別可能。
    • データの書き換え: 種類によってはデータの書き換えが可能。
  • 通信の仕組み: リーダーから放射された電波をタグが受け取り、そのエネルギーで内部のICチップが駆動してデータを返信する。

RFIDタグの種類

  1. パッシブタグ (電池不要): リーダーからの電波を電力源として動作。安価で寿命が長く、物流ラベルやアパレルで主流。
  2. アクティブタグ (電池内蔵): タグ自体が電波を発信。通信距離が非常に長い。

周波数帯による違い 

  • UHF帯: 数メートル以上の遠距離通信が可能。物流の全数検品や在庫管理に最適(現在主流)。
  • HF帯 (NFC含む): 数センチ〜数十センチの短距離通信。セキュリティ性の高い入退室管理や電子マネー。
  • LF帯: 金属に強いが通信距離は短い。 自動車のスマートキー、ペット・家畜の皮下埋め込みICチップ、工場の金型管理。

活用事例

  • 小売・アパレル: セルフレジ、瞬時の棚卸し。
  • 物流・製造: サプライチェーンの可視化、パレット・容器の在庫管理。
  • 医療・施設: 医薬品の追跡管理、社員証による入退室管理、備品管理。 

バーコードの進化系として、より効率的で自動化された業務プロセスを可能にする技術です。 

コメント